column コラム

  • 「上達を感じられない」と思っても

    私は子供の時からしゃべることが好きで、将来は人前でしゃべる仕事がしたいと思っていました。
    短大を出た後はオーディションを受けて事務所に入り、リポーターやMCなど色々なお仕事を経験。
    学生時代に演劇部だったので、事務所の同期の友人と劇団を組んで、芝居も続けていました。

    イベントMCの仕事が一番多かったのですが、舞台公演は基本的の土日祝日。
    イベントも土日祝日が一番多いです。
    どうしても、公演日と仕事の日が重なってしまいます。
    舞台公演の方が先に決まっているため、仕事を断ることが続いてしまいました。

    芝居も声の仕事もどちらもやりたい。
    両立するためには、どうしたら良いのか?
    そこで「そうか、声優になれば両方できる」と考え、声優の仕事を始めることに。
    しかし大阪では声優の仕事は少なかったので、一念発起して上京しました。

    東京で声優の養成所に通ったり、自分で営業をして細々とですが声のお仕事をいただいたりしていましたが、私にはあるコンプレックスがありました。
    私は、プロとしては滑舌(かつぜつ)が悪かったんです。
    一生懸命練習しているのに、変わらない。
    舌が長いのだと言われ、切ろうか悩んだこともありました。

    そんな時、養成学校の講師として来ていたディレクターの方が、私に海外ドラマの吹き替えの仕事をくださいました。
    役名はあっても大勢の中の一人みたいなお仕事が多かったので、きちんとストーリーに関わる役をいただいたのは初めてでした。
    嬉しくて嬉しくて、一生懸命練習しました。

    すると、私に変化が起こりました。
    滑舌が悪くていつもうまく話せなかった言葉などが、自分でも驚くぐらいスルっと出せるようになったんです。
    本当に、宇宙人にさらわれて改造されたのかと思うぐらい突然に(笑)

    私は、それまでは練習しながらも「ここは苦手だな、できないかも、ああやっぱり今日もできないな」と心のどこかで思いながらやっていたのかもしれません。
    しかし、毎日練習していたことはちゃんと私の中に蓄積されていたんです。
    お仕事をもらうことによって「自分を認めてくれる人がいる」という自信に変わり、一気に外側に出てきたのだと思います。

    もちろん、日頃練習したきたという実績があったからこそだと思います。
    なかなか上達しなくても、まずは積み重ねから始めてみてください。

    date - 2023.08.11

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